「『鬼滅の刃』で最も泣ける巻は?」と聞かれたら、多くのファンがこの21巻を挙げるのではないでしょうか。
無限城での最終決戦が激化する『鬼滅の刃』21巻は、鬼殺隊の大きな犠牲と、それでも消えない希望の光が描かれる、物語の核心に迫る一冊です。特に、涙なしには読めない兄弟たちの物語は、多くの読者の心を強く揺さぶりました。
本記事では、『鬼滅の刃』21巻のあらすじから、涙腺崩壊必至の見どころ、そして心に残る感想まで、徹底的にネタバレ解説します。ハンカチを準備して、読み進めてください。
※この記事は『鬼滅の刃』21巻の重大なネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。
【鬼滅の刃 21巻】あらすじ(完全ネタバレ)
物語は、上弦の壱・黒死牟との死闘の決着から始まります。霞柱・時透無一郎、不死川玄弥、風柱・不死川実弥、そして岩柱・悲鳴嶼行冥。鬼殺隊最強クラスの剣士たちが死力を尽くした末、ついに黒死牟を打ち破ります。
しかし、その代償はあまりにも大きく、時透無一郎と不死川玄弥は命を落としてしまいました。 愛する弟や仲間を失った実弥たちの慟哭が、無限城に響き渡ります。
悲しみに暮れる間もなく、鬼殺隊はついに鬼の始祖・鬼舞辻無惨のもとへ到達。そこでは既に、水柱・冨岡義勇と竈門炭治郎が無惨と対峙していました。
満身創痍の隊士たちを、無惨は災害のような圧倒的な力で蹂躙します。その猛毒の刃は炭治郎を捉え、左目に重傷を負わせ、全身を蝕んでいきます。
意識が遠のく中、炭治郎は夢の中で、すべての始まりの剣士・継国縁壱と、自らの祖先である炭吉の記憶に触れます。それは、竈門家にヒノカミ神楽が受け継がれた理由、そして無惨との永きにわたる因縁の物語でした。
絶望的な状況下でも、炭治郎の瞳からは闘志の炎が消えることはありません。仲間たちの想いを背負い、彼は折れた心を奮い立たせ、日輪刀を握りしめるのでした。
見どころ①:涙腺崩壊…時透無一郎と不死川玄弥、兄弟愛が描く壮絶な最期
21巻で最も心を揺さぶられるのは、間違いなく時透無一郎と不死川玄弥の最期のシーンです。
時透無一郎「僕は幸せになるために生まれてきたんだ」
死の淵で、無一郎は双子の兄・有一郎の霊と再会します。生前はすれ違い、互いに素直になれなかった兄弟。しかし、兄が誰よりも自分のことを想ってくれていた真実を知り、無一郎は涙ながらに「幸せだった」と告げます。
短い生涯の中で、大切な仲間と居場所を見つけた無一郎。彼の言葉は、苦しみだけではなかった人生の証であり、読者に深い感動と救いを与えてくれます。
不死川玄弥「兄ちゃん…守りたかった…」
体が塵へと変わっていく中、玄弥は最期の力で兄・実弥へ感謝を伝えます。「俺も兄ちゃんを守りたかった」という言葉は、ずっと兄の背中を追い続けた弟の偽らざる本心でした。
目の前で消えていく弟を前に、「神様 どうか どうか弟を連れて行かないでくれ」と泣き叫ぶ実弥の姿は、何度読んでも胸が張り裂けそうになります。この壮絶な兄弟愛と喪失の痛みこそが、『鬼滅の刃』という物語に深みを与えているのです。
見どころ②:最強の剣士・縁壱と鬼の始祖・無惨、二人の「超人」の決定的な違い
戦いの合間に語られる、始まりの呼吸の剣士・継国縁壱の過去も重要な見どころです。
縁壱は、かつて無惨をあと一歩まで追い詰めた「最強」の存在。しかし、彼が本当に望んだのは、愛する人と穏やかに暮らすささやかな幸せでした。強大な力を持ちながらも、誰かの幸せを願い、喪失に苦悩する彼の姿は、非常に人間味にあふれています。
一方、無惨は自らの行いを「天災」と言い放ち、それに抗う鬼殺隊を「異常者」と断じる、自己中心的な思想の塊です。部下すら駒としか見なさず、他者の命や想いを一切顧みません。
同じ「人間を超えた存在」でありながら、その精神性は正反対。縁壱の人間性と無惨の非人間性の対比が、物語のテーマをより一層際立たせています。
見どころ③:絶望の淵で燃える闘志。鬼舞辻無惨との最終決戦がついに始まる
物語の終盤、ついに鬼殺隊と鬼舞辻無惨の全面対決が描かれます。
柱でさえ赤子のようにあしらわれる、まさに絶望的な戦力差。無惨の攻撃は炭治郎を的確に捉え、死の淵へと追いやります。読んでいるこちらも息が詰まるような、緊迫した展開が続きます。
しかし、炭治郎は決して諦めません。朦朧とする意識の中で見た縁壱の記憶は、彼の使命と背負うものの重さを再認識させます。仲間たちの想い、受け継がれてきたヒノカミ神楽、そして禰豆子を人間に戻すという誓い。そのすべてが、炭治郎を再び立ち上がらせるのです。
ここから本当の最終決戦が始まるのだと、読者のボルテージが最高潮に達する瞬間です。
まとめ:悲しみと覚悟が交差する、最終決戦への序章
『鬼滅の刃』21巻は、壮絶な別れと引き換えに、鬼の始祖・鬼舞辻無惨への道を切り開いた、涙と覚悟の一冊です。
- 見どころ①: 時透兄弟、不死川兄弟の愛と絆が描かれ、涙腺は崩壊必至。
- 見どころ②: 縁壱と無惨の対比によって、物語の根幹にあるテーマが浮き彫りになる。
- 見どころ③: 炭治郎が決死の覚悟を固め、最終決戦の幕が上がる。
悲しみ、怒り、そして希望。あらゆる感情が渦巻くこの21巻は、クライマックスに向けて物語が大きく動く、絶対に読み飛ばせない重要な巻です。彼らの死を乗り越え、炭治郎たちは無惨を討ち取ることができるのか。その答えは、ぜひ次巻以降で見届けてください。