『鬼滅の刃』の単行本第5巻は、物語が大きく動き出す重要な転換点です。主人公・竈門炭治郎と仲間たちの成長、そして鬼殺隊の最高戦力「柱」の圧倒的な力が初めて明確に描かれるこの巻は、多くの読者に衝撃と感動を与えました。
この記事では、那田蜘蛛山を舞台に繰り広げられる下弦の伍・累とその「偽りの家族」との死闘を徹底解説します。話題を呼んだ名シーンや登場人物、そして物語に込められた深いテーマまで、5巻の魅力を余すことなくお伝えします。
この記事を読めば、以下のポイントがわかります。
- **「サイコロステーキ先輩」**の衝撃的な最期
- 炭治郎の**「ヒノカミ神楽」覚醒とアニメ19話の“神回”**
- 冨岡義勇と胡蝶しのぶ、**「柱」**の圧倒的な強さ
- 累が象徴する**「鬼は元は人間」**という深いテーマ
鬼滅の刃 5巻の基本情報と発売当時の話題
『鬼滅の刃』第5巻は、2017年3月3日に集英社から発売されました。表紙を飾るのは水柱・冨岡義勇。サブタイトルは**「地獄へ」**と、物語の緊迫した展開を予感させます。
この巻は、漫画界の巨匠である『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の秋本治先生と、『HUNTER×HUNXTER』の冨樫義博先生が連続して帯コメントを寄せたことでも大きな話題となりました。読者からは「冨樫先生と秋本先生がコメントするなんてすごい!」と、作品への期待がさらに高まりました。
那田蜘蛛山編:激闘と柱の登場
物語は、炭治郎たちが那田蜘蛛山で蜘蛛の鬼の家族と繰り広げる激しい戦いを描きます。特に、下弦の伍・累との対決が物語の中心です。
サイコロステーキ先輩の衝撃
第5巻で多くの読者に強烈な印象を残したのが、通称**「サイコロステーキ先輩」**と呼ばれる鬼殺隊士です。
彼は「安全に出世したい」といった発言を連発しますが、名乗る間もなく累の糸によって体を細切れにされてしまいます。その衝撃的な最期は、累の残虐性を際立たせ、読者に強烈なインパクトを与えました。
柱、参戦!冨岡義勇と胡蝶しのぶの圧倒的な力
絶体絶命の危機に陥った炭治郎たちを救うため、物語序盤で炭治郎を鬼殺隊へ導いた水柱・冨岡義勇と、蟲柱・胡蝶しのぶが満を持して参戦します。
- 冨岡義勇:伊之助と炭治郎が苦戦した父蜘蛛を、「水の呼吸 肆ノ型 打ち潮」で瞬殺。柱の圧倒的な強さを見せつけます。
- 胡蝶しのぶ:毒に侵された善逸のもとに舞い降り、美しい笑顔の裏で恐ろしい言葉を吐きながら、「蟲の呼吸 蝶ノ舞 戯れ」で姉蜘蛛を討伐します。
二人の登場は、これまでの戦いとは一線を画す、桁違いの強さを読者に示しました。
炭治郎の覚醒:ヒノカミ神楽と禰豆子の血鬼術
那田蜘蛛山を支配する累は、恐怖と暴力で結ばれた偽りの「絆」を築き上げていました。しかし、炭治郎は累に対し「こんなものを絆とは言わない、紛い物…偽物だ!」と反論し、累の逆鱗に触れます。
累は、炭治郎と禰豆子の本物の「兄妹の絆」に執着し、禰豆子を奪おうと迫ります。日輪刀を折られ、窮地に陥った炭治郎は、死を覚悟した瞬間、走馬灯の中で亡き父の姿と「ヒノカミ神楽」を思い出します。
この記憶をきっかけに、炭治郎は「ヒノカミ神楽 円舞」を繰り出し、同時に気を失っていた禰豆子が血鬼術「爆血」を放ちます。禰豆子の血が付着した刃が累の糸を燃やし、ついに累の頸を斬ります。
この一連のシーンは、TVアニメ第19話「ヒノカミ」として、作画、演出、音楽の全てにおいて圧倒的なクオリティで描かれ、国内外で「神回」と称されました。このエピソードが、作品全体の人気を爆発的に高めた一因と言えるでしょう。
累の悲しき過去と『鬼滅の刃』の深いテーマ
累は、頸を斬られた直後に人間の頃の記憶を取り戻します。病弱な人間が鬼に変えられ、最愛の両親を自らの手で殺してしまった悲劇的な過去が描かれます。
この「鬼は元は人間だった」というテーマは、『鬼滅の刃』の大きな魅力の一つです。鬼舞辻無惨によって人生を狂わされた被害者であるという視点が、物語に深みを与えています。
炭治郎が累の死に際してかけた**「鬼は人間だったんだから 俺と同じ人間だったんだから」**という言葉は、この作品の根幹にある深い共感力を象徴しています。
まとめ:『鬼滅の刃』5巻が物語に与えた影響
『鬼滅の刃』第5巻は、激しい戦闘、キャラクターの成長、そして深いテーマ性が凝縮された必読の巻です。
- 柱の登場:冨岡義勇と胡蝶しのぶの圧倒的な実力が示され、今後の戦いがより激化していくことを予感させました。
- ヒノカミ神楽:炭治郎が覚醒させたこの秘技は、物語の核心に迫る重要な伏線として、最終決戦における鬼舞辻無惨への対抗策となることを示唆しています。
- 深いテーマ:累の過去が描かれたことで、「鬼もまた被害者である」という作品の根幹をなすテーマが明確になり、読者に深い感動を与えました。
この巻で描かれた数々の名シーンは、後の物語に大きな影響を与え、炭治郎の成長と鬼殺隊の戦いを加速させます。まだ読んだことがない方は、ぜひこの傑作を手に取ってみてください。