「かつての熱狂はどこへ…?」
『チェンソーマン』第2部、通称“学園編”に対して、「失速した」「展開が遅い」そんな声が聞こえてきます。特に最新17巻を巡っては、その賛否がさらに加速しています。しかし、本当に物語は停滞しているのでしょうか?
本記事では、衝撃の展開が続く『チェンソーマン』17巻のあらすじとネタバレを徹底解説。なぜ評価が二分するのか、その理由を国内外の読者の声から深掘りし、物語の核心に迫ります。この記事を読めば、賛否両論の向こう側に見える『チェンソーマン』の新たな魅力と、今後の展開への期待が膨らむはずです。
基本情報:2024年4月4日、物語は再び動き出す
2024年4月4日に発売された『チェンソーマン』17巻。第1部「公安編」の熱狂を引き継ぐ第2部「学園編」の重要な一冊です。表紙を飾る吉田ヒロフミの不敵な笑みが象徴するように、彼の暗躍が物語を大きく揺さぶります。「チェンソーマン教会」の崩壊と、忍び寄る「恐怖の大魔王」の影。17巻は、デンジたちの日常が再び非情な現実によって破壊されていく様を克明に描きます。
ネタバレ注意!地獄絵図、再び。17巻で描かれた衝撃の展開
公安vs教会!狙われたアサ、絶体絶命の危機
物語は、公安による「チェンソーマン教会」施設への一斉強襲で幕を開けます。教会の広告塔として利用されていた三鷹アサも、その渦中へ。公安に命を狙われるアサを急襲したのは、クラスメイトであるはずの吉田ヒロフミでした。
問答無用で右腕を切断される絶望的な状況。しかし、その瞬間、内に眠る戦争の悪魔・ヨルが覚醒。「606号室剣」という強力な武器を生成し、反撃に転じます。アサとヨル、二心同体の少女が生き残りをかけて壮絶な戦いを繰り広げる一方、街は大量発生した悪魔によって地獄絵図と化していました。
「助けてチェンソーマン」――デンジ、覚悟の変身とナユタの涙
その頃、公安に拘束されていたデンジ。しかし、家族であるナユタの危機を前に、彼はついに変身の引き金を引きます。圧倒的な力でウェポンズを一掃するチェンソーマン。その姿は、まさにヒーローそのものでした。
一方で、戦いの経験が乏しいナユタは「支配の悪魔」としての力の未熟さを痛感します。それでも、公安に所属するクァンシの助けを借り、愛するデンジを逃がすために必死に奮闘。家を焼かれ、愛する犬猫の安否も不明な中、ただひたすらに「兄」を守ろうとする彼女の健気な姿は、多くの読者の涙を誘いました。
物語の核心:デンジが向き合う「夢」と「現実」の残酷な矛盾
第2部「学園編」で一貫して描かれるのは、デンジが抱く二つの夢の矛盾です。
- 「普通の暮らしをして、普通の死に方をしたい」
- 「チェンソーマンとして、女の子にモテたい」
特に第166話「雨・ソープ・切断」は、このテーマを象徴する重要なエピソード。自らの欲望(モテたい)のために行動した結果、手に入れかけた「普通の暮らし」を自ら壊してしまったことにデンジは気づきます。公安編での彼の戦う動機すら「女」だったことを思えば、この自省はデンジの大きな内面的成長を示しており、物語に深い奥行きを与えています。
なぜ「失速」と言われるのか?売上減と読者のリアルな声
しかし、こうした内面描写の深化とは裏腹に、第2部、特に17巻以降の展開には厳しい声も少なくありません。初週売上はピーク時の半分以下となる14万部まで落ち込み、「失速した」という評価が目立つようになりました。
【主な批判点】
- 展開の遅さ: 公安編のようなスピード感がない。
- デンジの無気力さ: 主人公が積極的に動かないことへの不満。
- 作画の変化: 「劣化した」「荒くなった」という指摘。
- しつこい下ネタ: 物語の緊張感を削いでいるとの意見。
- 新キャラクターの魅力: 公安編のキャラクターに比べて印象が薄い。
一方で、「これこそが藤本タツキ作品の真骨頂だ」と評価する声も根強く存在します。彼らは、第2部を**「ヒーローとしてのチェンソーマンではなく、人間としてのデンジを描くための新たな挑戦」**と捉え、その繊細な心理描写を高く評価しています。まさに、読者間でも意見が真っ二つに割れている状況です。
海外の反応は?予測不能な展開に世界が熱狂!
日本の賛否両論をよそに、海外のファンコミュニティ(MALやRedditなど)では熱狂的な支持が続いています。特に、第172話で突如登場した「耳の悪魔」と、それによってもたらされた「耳のない世界」という超展開は大きな話題を呼びました。
- 「なぜポチタは“耳”を食べたんだ?全く先が読めない!」
- 「Very Good」「Loved it!」
- 「This is peak fiction!(これぞ最高のフィクションだ!)」
作画の変化には厳しい意見も見られますが、それを補って余りある**「誰も予測できないストーリーテリング」**が、海外ファンを強く惹きつけているのです。
今後の展開は?物語の鍵を握る3つのポイント
賛否渦巻く「学園編」ですが、物語はまだ多くの謎をはらんでいます。今後の展開を占う上で、以下のポイントは見逃せません。
- デンジの最終選択: 彼は失った「普通の生活」を取り戻すのか、それとも「チェンソーマン」として生きる道を選ぶのか。彼の決断が物語の全てを動かします。
- 恐怖の大魔王と死の悪魔: チェンソーマン教会が画策していた「恐怖の大魔王」の正体とは?そして、ヨハネの黙示録になぞらえられる「四人の騎士」の最後の一人、「死の悪魔」はいつ現れるのか。
- キャラクターたちの行方: 公安と敵対することになったデンジとナユタ、吉田の真の目的、そしてアサとヨルの関係性など、各キャラクターの動向から目が離せません。
まとめ:賛否両論の先に光る、「デンジの人間らしさ」を見届けよ
『チェンソーマン』17巻、そして第2部「学園編」は、確かに読者を選ぶ展開かもしれません。公安編のジェットコースターのような爽快感を期待すれば、戸惑うのも無理はないでしょう。
しかし、その賛否両論こそが、本作が新たなフェーズに突入した証拠です。失った日常と捨てきれない欲望の間で揺れ動くデンジの**“人間らしさ”**。それは、かつてないほど生々しく、私たちの胸を抉ります。
売上や批判の声だけでこの作品を判断するのは早計です。果たしてデンジはどちらの未来を選ぶのか。この唯一無二の物語がどこへ向かうのか、これからも固唾を飲んで見守りましょう。