【鬼滅の刃】20巻のあらすじと感想|黒死牟の悲しい過去と受け継がれる想い

鬼滅の刃

『鬼滅の刃』20巻は、シリーズ全体のクライマックスである無限城での決戦が、かつてないほどの熱量と深みをもって描かれる必読の一冊です。

最強の鬼「上弦の壱・黒死牟」と鬼殺隊最強の剣士たちの死闘。そして、明かされる黒死牟の悲しくも人間らしい過去。この巻は、激しいバトル描写と、心を抉るような文学的な人間ドラマが完璧に融合しています。

この記事では、『鬼滅の刃』20巻のあらすじと見どころを、重要なネタバレを含みつつ徹底解説します。なぜ黒死牟が鬼になったのか、そして物語の根幹をなす深いテーマを紐解いていきましょう。

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鬼滅の刃 20巻の主な登場人物

キャラクター役割・状況
黒死牟(こくしぼう)十二鬼月・上弦の壱。元鬼殺隊の剣士で、始まりの呼吸の剣士・縁壱の双子の兄。
悲鳴嶼 行冥(ひめじま ぎょうめい)鬼殺隊・岩柱。鬼殺隊最強と称される実力者。
不死川 実弥(しなずがわ さねみ)鬼殺隊・風柱。鬼への強い憎悪を抱く。
時透 無一郎(ときとう むいちろう)鬼殺隊・霞柱。黒死牟の子孫にあたる。
不死川 玄弥(しなずがわ げんや)実弥の弟。鬼を喰らうことで鬼の力を一時的に得られる特異体質を持つ。

あらすじ:上弦の壱・黒死牟との総力戦、ついに決着

物語は、上弦の壱・黒死牟と、鬼殺隊の柱である悲鳴嶼、不死川、時透による壮絶な戦いの続きから始まります。

変幻自在の「月の呼吸」を操る黒死牟の力は圧倒的で、最強の柱たちですら防戦一方に追い込まれます。絶望的な状況の中、戦いの鍵を握ったのは不死川玄弥でした。

玄弥は自らの特異体質を活かし、黒死牟の髪と刀の一部を喰らって鬼の力を吸収。血鬼術を覚醒させ、黒死牟の動きを一時的に封じるという大金星を挙げます。

この一瞬の好機を逃さず、柱たちは捨て身の総攻撃を仕掛けます。個々の力では到底及ばない相手に対し、仲間を信じ、互いの命を繋ぐことで最強の鬼を追い詰めていくのです。

見どころ①:黒死牟の過去と「継承」というテーマ

激しい戦いの最中、物語は黒死牟が人間だった頃、**「継国巌勝(つぎくに みちかつ)」**として生きた時代へと遡ります。

彼には、神に愛されたかのような剣の才能を持つ双子の弟・**縁壱(よりいち)**がいました。巌勝は、最強の侍になることを目指しながらも、常に弟への嫉妬と劣等感に苛まれていたのです。

  • 縁壱の思想:「特別な人間はいない。自分たちの成したことを、次の世代へ繋いでいくことが重要だ」
  • 巌勝の思想:「個の力を極め、最強として名を残したい。そのためなら永遠の命も厭わない」

縁壱が「未来への継承」を重んじたのに対し、巌勝は「個の力への固執」から逃れられませんでした。この決定的な価値観の違いが、彼を鬼の道へと誘ったのです。

縁壱の想いが煉獄や悲鳴嶼といった鬼殺隊の柱たちに受け継がれているのとは対照的に、黒死牟の選んだ道はどこまでも孤独でした。この対比こそ、20巻が描く最も重要なテーマの一つです。

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見どころ②:「一番弱い人」が持つ無限の可能性

20巻で光を放つもう一つのテーマが、「弱さ」が持つ可能性です。

「一番弱い人が一番可能性をもっているんだよ 炭治郎はそう言ってた」

これは、玄弥が思い出す炭治郎の言葉です。

柱のような剣技を持たない玄弥は、自分の「弱さ」を受け入れ、それを特異体質という武器に変えました。瀕死の時透無一郎もまた、最後の力を振り絞り、赫刀(かくとう)を覚醒させて黒死牟に深手を負わせます。

彼らの姿は、実力や才能だけが全てではないことを教えてくれます。自分の弱さと向き合い、仲間の助けを得ることで、人は最強の敵に立ち向かう力さえ得られるのです。このメッセージは、競争社会に生きる私たちに大きな勇気を与えてくれるでしょう。

見どころ③:少年漫画の枠を超える「文学的」な内面描写

『鬼滅の刃』20巻が傑作たる所以は、その構成の巧みさにもあります。

前半は息もつかせぬド迫力のバトルシーン。そして後半は、黒死牟の一人称で語られる、まるで私小説のような回想シーンが続きます。

この「文学的」とも言える手法により、読者は単なる悪役としてではなく、一人の人間「巌勝」の苦悩、孤独、そして弟への歪んだ愛情を深く追体験することになります。彼の行動原理が痛いほど伝わってくるため、憎しみだけでなく、同情や共感といった複雑な感情を抱かずにはいられません。

敵の内面を深く掘り下げることで、物語全体に圧倒的な重厚さと深みを与えています。

まとめ:『鬼滅の刃』20巻は「どう生きるべきか」を問う一冊

『鬼滅の刃』20巻は、壮絶な戦闘と深い人間ドラマが交差する、物語の核心に迫る一冊です。

  • テーマ:描かれるのは「個への固執(黒死牟)」と「未来への継承(鬼殺隊)」の対比。
  • 感動:「一番弱い人」が持つ可能性が、仲間との連携によって開花する姿に胸が熱くなる。
  • 構成:バトルと文学的な回想シーンの融合が、敵役である黒死牟に人間的な深みを与えている。

黒死牟との戦いは、鬼殺隊の勝利で幕を閉じます。しかし、その代償はあまりにも大きく、読者は深い感動と共に、言い知れぬ悲壮感に包まれるでしょう。

この巻は、単に「鬼を倒す物語」ではなく、**「人としてどう生き、何を未来へ残すのか」**という普遍的な問いを私たちに投げかけています。

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