『呪術廻戦』のコミックス第3巻は、物語が「王道バトル」から「残酷な現実」へと加速する**「幼魚と逆罰(ようぎょとさかばつ)」編**を収録した、シリーズ屈指の重要巻です。
第17話から第25話までを収めた本巻では、新キャラクターの登場、主人公・虎杖悠仁の精神的覚醒、そして読者にトラウマを植え付けるほどの衝撃的な展開が描かれます。なぜ3巻が「最高傑作の一つ」と称されるのか、その理由を深く掘り下げます。
1. あらすじ:交錯する思惑と新たな強敵の影
3巻では、物語の舞台が広がり、呪術師たちの思想がより鮮明に描き出されます。
京都校の強襲と「タイプ」の問い
伏黒恵と釘崎野薔薇の前に、呪術高専京都校のメンバーが登場。規格外の強さを誇る東堂葵と、禪院家の因縁を背負う禪院真依の襲来は、呪術師同士の勢力図を感じさせます。東堂の「どんな女がタイプだ?」という問いは、後の物語に繋がる重要な伏線となります。
「大人」の呪術師・七海建人の登場
一方、虎杖は五条悟の推薦により、一級呪術師・**七海建人(ななみ けんと)**と任務に就きます。冷静沈着で徹底的に合理的な七海は、虎杖に「呪術師という仕事」の厳しさと、大人としての誇りを背中で示します。
孤独な少年・吉野順平との出会い
任務の最中、虎杖は高校生の吉野順平と出会います。いじめにより世界に絶望していた順平。そんな彼の心に付け入ったのは、狡猾な特級呪霊・**真人(まひと)**でした。真人と夏油傑は、順平を利用して虎杖を追い詰める「悪辣な計画」を始動させます。
2. 【ネタバレ】吉野順平の悲劇と、真人の非道なる策略
3巻の核心であり、読者の心に深い傷跡を残すのが、吉野順平を巡る悲劇的な運命です。
踏みにじられた友情
真人の甘言に惑わされ、呪詛師の道へと足を踏み入れる順平。真人はさらに追い打ちをかけるように順平の母を殺害し、その憎悪を虎杖へと向けさせます。しかし、真人の真の目的は順平を救うことではなく、**「宿儺の器である虎杖に絶望を与え、縛りを科すこと」**にありました。
容赦ない結末
真人の術式「無為転変」によって異形の姿に変えられ、命を落とす順平。彼の最期は、呪霊の非道さと「救えない現実」を象徴しています。この出来事は虎杖に強烈な殺意と成長をもたらし、物語全体のトーンを決定的にダークなものへと変貌させました。
3. 『呪術廻戦』3巻を彩る5つの見どころ
本巻は重厚なドラマだけでなく、エンターテインメントとしての魅力も詰まっています。
- 新キャラクターの鮮烈な個性: 東堂葵の破天荒な言動や、七海建人のプロフェッショナルな魅力が物語に深みを与えます。
- 「大人」と「子供」の対比: 七海と虎杖の共闘は、未熟な少年が「プロ」の世界を知る重要なステップとして描かれます。
- 吉野順平の物語が描く「現代の闇」: 学校でのいじめや孤独、社会への不満といったリアルなテーマが、読者の強い共感を呼び起こします。
- バトル展開の加速: 虎杖と真人の対峙は、肉体のぶつかり合いだけでなく「魂」の在り方を問う心理戦の側面も持ち、目が離せません。
- 表紙を飾る釘崎野薔薇: 3巻の表紙は釘崎。彼女の凛とした立ち姿は、物語の中で彼女が見せる強固なアイデンティティを象徴しています。
4. 読者の感想と評価:深まる物語への没入感
『呪術廻戦』3巻は、読者から圧倒的な支持を受けています。特に**「七海が格好良すぎる」「順平の最期が辛すぎるが、だからこそ目が離せない」**といった、キャラクターの深掘りに対する評価が目立ちます。
累計発行部数55万部(当時)を突破した勢いそのままに、単なる能力バトル漫画の枠を超え、**「人間の魂の醜さと美しさ」**を描き出すダークファンタジーとしての地位を確立した一冊と言えるでしょう。
5. まとめ:あなたは「正しい死」を見届けられるか
『呪術廻戦』3巻は、主人公・虎杖悠仁が「正しい死」を問い続け、絶望の中で立ち上がる姿を描いた、シリーズの中でも分岐点となるエピソードです。
順平の悲劇を経て、虎杖は呪霊との戦いにどう向き合っていくのか。そして、京都校との交流戦で待ち受ける新たな展開とは――。物語はさらに加速していきます。
