【チェンソーマン】10巻ネタバレ解説|アキとパワーの死、マキマの正体…地獄の展開を徹底考察

チェーンソーマン

『チェンソーマン』10巻は、物語が根底から覆る、まさに「地獄」の始まりを告げる一冊です。家族同然だった仲間の死、明かされる支配の悪魔マキマの恐るべき計画、そしてチェンソーマンの真の能力。息もつけない絶望の連続に、多くの読者が打ちのめされました。本記事では、10巻の衝撃的なあらすじを完全ネタバレで追いながら、物語の核心に迫る伏線や見どころ、そして読者の心を抉る藤本タツキ先生の巧みな演出まで、深く鋭く考察します。この記事は、未読の方への警告であり、読了済みの方の心を再確認する道標です。

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チェンソーマン10巻のあらすじ【完全ネタバレ】

引き裂かれた家族の絆:デンジ、アキを殺す

未来の悪魔が示した「最悪の未来」の現実化

『チェンソーマン』10巻の幕開けは、読者が最も恐れていた未来の具現化です。銃の悪魔に乗っ取られ、自我を失った「銃の魔人」と化した早川アキ。彼の脳内では、幼い頃のデンジと雪合戦をするという幸せな幻覚が繰り広げられます。しかし現実では、その腕はデンジや近隣住民を無差別に殺戮する凶器と化していました。

デンジは、家族同然だったアキをこれ以上「化け物」にしないため、そして彼を苦しみから解放するために、チェンソーを起動します。涙を流しながら「アキ」を殺すデンジの姿は、本作屈指の悲劇的なシーンとして、読者の胸に深い傷を残しました。「アキの泣くところで胸が苦しかった」という感想が、この展開の残酷さを物語っています。

空虚な日常と深まる虚無感

アキのいない家で、デンジとパワーに募る罪悪感

アキの死後、デンジとパワーの生活は続きますが、そこには決定的な「穴」が空いていました。アキが遺した財産で少し贅沢な暮らしを始めるも、二人の心は満たされません。部屋に積み上げられたゴミ袋は、彼らの荒れ果てた心を象徴しているかのようです。デンジはアキを殺した罪悪感から悪夢にうなされ、食事も喉を通らない。パワーはそんなデンジを元気づけようとしますが、その無邪気さすらも虚しく響きます。

支配の悪魔、降臨:マキマの歪んだ愛と計画の全貌

デンジが「犬」になる瞬間

思考を放棄させ、絶対的な服従を誓わせる「救済」

心身ともに限界だったデンジは、救いを求めてマキマの部屋を訪れます。そこで待っていたのは、暖かいお茶と、彼女に懐く犬たち、そして全てを受け入れてくれるようなマキマの優しい言葉でした。「何も考えなくていい」――その言葉に、デンジは思考を放棄し、自ら「マキマさんの犬になりたい」と告げます。この一言こそ、マキマが待ち望んでいた「支配」の契約完了の合図でした。

誕生日、最悪のプレゼント:パワー、理不尽な死

扉の向こうの絶望と、打ち砕かれるデンジの心

デンジを完全に支配下に置いたマキマは、彼の誕生日を祝うパワーを呼び寄せます。そして、デンジに玄関の扉を開けるよう、無垢な命令を下します。デンジが言われるがまま扉を開けた瞬間、マキマの腕が一閃し、パワーの体は上半身と下半身に分断され、絶命します。

あまりにも突然で理不尽な死。デンジの誕生日ケーキを持って駆けつけたパワーの笑顔が、次の瞬間には血飛沫に変わるこのシーンは、読者に計り知れない衝撃と喪失感を与えました。マキマは、デンジから「普通の幸せ」を奪い尽くすことで、彼をチェンソーマンとして完全に目覚めさせようとしていたのです。

物語の核心:チェンソーマンと黙示録の四騎士

存在を消す力:なぜチェンソーマンは「地獄のヒーロー」なのか?

悪魔が最も恐れる、究極の能力

マキマの口から、チェンソーマンの真の能力が語られます。それは、食べた悪魔の名前ごと、その存在を過去・現在・未来から完全に消し去る力。ナチス、第二次世界大戦、エイズといった、かつて存在した恐怖の概念が人々の記憶から消えているのは、チェンソーマンがそれらの悪魔を食べたからでした。

この力ゆえに、彼は地獄の悪魔たちから「地獄のヒーロー」と呼ばれ、恐怖と崇拝の対象となっています。マキマは、この力を利用して「戦争」「飢餓」「死」といった世界から望ましくないものを消し去り、より良い世界を創ることを目的としていました。彼女はチェンソーマンを愛し、同時に彼を支配することで、自らの理想郷を実現しようとしていたのです。

「黙示録」と四騎士のモチーフ

世界の終焉を描く壮大なスケール

マキマの正体は、聖書の黙示録に登場する「四騎士」の一人、「支配」の悪魔でした。彼女の目的は、同じく四騎士である「戦争」「飢餓」「死」の悪魔たちをチェンソーマンに食べさせ、それらの概念を消し去ること。物語は、一人の少年の物語から、世界の存亡をかけた神話的なスケールへと飛躍します。

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絶望の中の希望とユーモア

地獄のファミレスバイト:コベニがもたらす束の間の「日常」

絶望とギャグが同居するチェンソーマンの世界観

物語が最も暗く沈むこの10巻で、一筋の光(と笑い)を放つのが、東山コベニの再登場です。デビルハンターを辞め、ファミレスでバイトする彼女は、チェンソーマンと化したデンジと遭遇し、壮絶なドタバタ劇を繰り広げます。

絶望的な状況下で「助けてチェンソーマン!」と叫び、デート(?)にこぎつける彼女の姿は、最高のブラックユーモアです。コベニの存在は、読者にとっての「緩衝材」であると同時に、デンジとポチタが夢見た「普通の生活」を象徴する重要な役割を担っています。

岸辺という「本物の大人」

マキマに立ち向かう、最後の砦

最強のデビルハンターである岸辺は、マキマの危険性をいち早く察知し、彼女と対峙する数少ない人物です。デンジとパワーの師であり、保護者のような存在でもあった彼は、物語の絶望的な状況下で、読者にわずかな希望を感じさせます。彼の存在は、この理不尽な世界における「最後の良心」とも言えるでしょう。

考察:表紙に隠された「犬の気持ち」の真意

『チェンソーマン』10巻の表紙は、その内容を巧みに暗示しています。ロゴの前に立ち、こちらを見据えるマキマは、全てを支配する絶対的な存在として描かれています。彼女の人差し指に浮かぶ「10」の数字は、まるで世界を意のままに操る神のようです。

しかし、その視線の先には「犬の気持ち」というサブタイトルが配置されています。これは、デンジを「犬」として支配したマキマの視点を示唆すると同時に、彼女自身もまた、理解できない存在(チェンソーマン)に焦がれる「犬」のような心情であったことを暗示しているのかもしれません。支配したいのに、決して完全には手に入らない存在への、歪んだ愛と渇望がこの表紙から読み取れます。

まとめ:地獄への序曲、そして最終決戦へ

『チェンソーマン』10巻は、アキとパワーという二つの大きな光を失い、デンジが底知れぬ絶望へと突き落とされる巻でした。マキマの正体と目的、チェンソーマンの真の能力が明かされ、物語は最終局面へと一気に加速します。

しかし、藤本タツキ先生は、その地獄のような展開の中に、コベニというユーモアや、岸辺という希望を巧みに配置します。絶望と救済、暴力と優しさが乱反射するこの10巻は、『チェンソーマン』という作品の魅力を凝縮した一冊と言えるでしょう。全てを失ったデンジは、ここからどう立ち上がるのか。10巻を読み終えた誰もが、固唾を飲んで次のページを待つことになるはずです。

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