オカルトとSF、バトルとラブコメが混沌と融合する龍幸伸氏の話題作『ダンダダン』の最新刊、第12巻が発売されました。
本巻は、「バモラ&カシマレイコ編」のクライマックスとなる、外宇宙からの侵略者(インベーダー)との地球総力戦が本格的に開幕します。重傷で幽体離脱中のオカルンの復活に向けた修行、モモたち「地球防衛隊」の決死の連携特訓、そして新キャラクターバモラに秘められた涙腺崩壊必至の悲しい過去が描かれ、見どころが凝縮された一冊です。
この記事では、『ダンダダン 12巻』のあらすじを詳細に解説し、ファンが最も知りたいネタバレと熱い感想、そして次巻への期待を深掘りします。
ダンダダン12巻あらすじ:戦力半減!地球防衛隊 vs 外宇宙の侵略者
『ダンダダン 12巻』では、予見されていた襲来の日に、外宇宙の侵略者「インベーダー」たちによる全面的な地球侵略が開始され、「バモラ&カシマレイコ編」はクライマックスへと突入します。地球防衛隊は、極めて不利な「戦力半減」という絶望的な状況から防衛戦を強いられます。
最強戦力「不在」の絶望的な開幕戦:綾瀬桃たちの決死の防衛線
侵略者との激戦が始まるにもかかわらず、主人公サイドの戦力は著しく低下していました。
不在の主要戦力
- 最強キャラであるモモの祖母・星子(不在)
- 最強ロボパイロットの坂田金太(不在)
- 重傷を負い幽体離脱中の主人公・オカルン(戦闘不参加)
- 誤解からチームを離脱していたバモラ(当初不在)
この状況は「飛車角落ちどころか戦力半減」と評されるほどの絶望的な陣容です。
綾瀬桃、白鳥愛羅、円城寺仁(ジジ)、シャコ星人、セルポ星人のわずか5人が、圧倒的な物量で押し寄せるインベーダーを相手に必死の防衛戦を展開します。モモたちは連携特訓の成果を見せて善戦するものの、徐々に敵の物量に押されていく苦しい展開となります。
オカルンが会得した新必殺技「螺旋の力」:フレミングの法則との融合
一方、肉体を離脱したオカルン(高倉健)は、幽体となって北海道の星子のもとに辿り着きます。彼はそこで、ターボババアから戦いの秘訣と、自分の体に戻る方法を教えてもらうことになります。
特訓の結果、オカルンは新たな力である**「螺旋の力」を会得**します。
驚くべきは、この力を習得する過程で**「フレミングの法則」がヒントになるという、物理法則とオカルトが融合したユニークな描写です。これは、オカルトオタクでありながら真面目に勉強もするオカルンの内面を象徴しています。新たな力を得たオカルンは、次巻での「大・復・活!!!」**を期待させつつ、一路戦場へと戻る道を模索します。
【涙腺崩壊】バモラの正体と悲しき運命:古代シュメール人の悲劇
『ダンダダン 12巻』における最大の見どころであり、読者の涙腺崩壊を誘ったのが、新キャラクターバモラの壮絶な過去が明らかになる展開です。このネタバレは、物語の縦軸に深い「哀しみ」というテーマを挿入しました。
モモの窮地を救ったバモラの決死の行動
総力戦が激化し、綾瀬桃が絶体絶命のピンチに追い込まれたその瞬間、一時チームを離脱していたバモラが救援に駆けつけます。バモラは自身の重傷と引き換えにモモを助け出しました。この献身的な行動により、彼女が侵略者たちのグルではないことが明確になり、読者に大きな感動を与えます。
モモは、バモラの傷を治療するために超能力で彼女に触れます。
楔形文字に秘められた真実:バモラは古代シュメール人だった
モモがバモラに触れた瞬間、モモだけでなく、接続されていた他のメンバーたちの脳内にも、バモラが体験してきた壮絶な過去が一気に流れ込みます。
バモラの過去編で明らかになった衝撃の事実
- 正体: 怪獣の着ぐるみを着たバモラのルーツは、遠い宇宙で繁栄していた古代シュメール人だった。
- 故郷の悲劇: 彼女の故郷の星は、今地球を狙っている外宇宙の侵略者たちによって滅ぼされていた。
- 言葉の謎: 過去にバモラが話していた言葉が楔形文字のようであった理由も、この悲劇的な背景で繋がる。
この過去編は「泣ける」と高く評価されており、モモたちの戦いの目的は「地球を救うこと」だけでなく、**「バモラの笑顔を取り戻すこと」**というパーソナルな目標へと昇華されます。
クライマックスを彩るキャラクターの成長と新技
12巻は、不在のオカルンだけでなく、前線で戦う仲間たちの成長と、人間ドラマとしての深みにも見どころが詰まっています。
ジジ(円城寺仁)が放つ言霊の力:新技「邪銃」の炸裂
戦力不足の中、モモの幼馴染であるジジ(円城寺仁)は著しい成長を見せ、新たな必殺技を披露します。その名も「邪銃(じゃじゅう)」。
この技は、単なる気功波ではなく、モモが提唱した言霊の力を乗せ切るために、ジジが心の底から発生させた言葉によって打ち出されるものです。彼の邪視という存在を受け入れ、異心同体となった邪視の思いも乗せて放つという点で、彼の内面的な成長を象徴する一撃となりました。
蚊帳の外のヒーロー:坂田金太の「辛い痛い」奮起
最強ロボパイロットでありながら、この総力戦で主要戦力から外れていた通称**「エロ助」こと坂田金太(キンタマ)**。彼は超常現象の戦いだけでなく、普段の学生生活でも蚊帳の外にいる様子が描かれます。
しかし、モモが星子宛に残したメッセージを自分へのものだと勘違いしたことで、金太は「ヒーローは遅れて登場するものだ」とばかりに、助けにいく甲斐性を見せます。弱さを見つめられずハッタリをかます彼が、真のヒーローになるべく戦場へ向かう覚悟は、本巻の重要な人間ドラマの見どころの一つです。
感想・見どころ:龍幸伸が描く「闇鍋」的世界観と圧倒的なマンガ力
『ダンダダン』が読者の注目を集めてきた最大の要因の一つは、作者・龍幸伸氏の卓越した**「マンガ力」**にあります。12巻の激しいバトルは、その実力が最大限に発揮されています。
躍動感あふれるガンカタ風アクションと奇想天外なクリーチャー
読者や批評家から一様に絶賛されているのが、龍氏の圧倒的な画力です。12巻のバトル描写においても、キャラクターの生き生きとした表情や、躍動感あふれるアクションシーンが凄まじい勢いで展開されています。
- 緻密な描画: 奇想天外なクリーチャーやメカが、緻密な筆致で描き込まれており、見応え十分。
- バトルスタイル: 体重が乗った肉弾戦と溜めの開放感がある遠隔攻撃を組み合わせた、まるで**「ガンカタ」のようなバトル描写**は、本作独自の見どころ。
龍氏が『チェンソーマン』の藤本タツキ氏や『地獄楽』の賀来ゆうじ氏のアシスタントを務めていた経歴も、その画力の高さを裏付けています。
SF、オカルト、ギャグが混ざる「カオスな闇鍋」的世界観の魅力
『ダンダダン』は、SFファンタジー、格闘バトル、ギャグ・コメディ、恋愛・ラブコメといった多様なジャンルが混ざり合った**「カオスな闇鍋」のような漫画**だと評されています。登場する要素も、宇宙人から妖怪、幽霊まで何でもありです。
12巻では、古代シュメール人という設定が浮上し、物語が宇宙や時代をまたがる壮大なSFドラマへとスケールを拡大させており、シリアスな展開が増したことで、物語の深みが増したという感想も寄せられています。一方で、物語の構造をラスボスなき「ステージ制のタワーディフェンス・ゲーム」のように捉え、一貫した縦軸は**「キンタマ」と「ラブコメ」**だというユニークな分析も存在します。
単行本でまとめて読むと、密度の高い情報量とテンポの良さを改めて感じる一冊となっています。
まとめと次巻への期待:バモラの笑顔を取り戻せ!
『ダンダダン 12巻』は、龍幸伸氏の圧倒的な画力と、読者の感情を深く揺さぶるシリアスな展開が融合した、激戦と感動が盛りだくさんの一冊でした。
本巻の主要なポイントは以下の通りです。
- 戦いの動機深化: バモラの故郷の星を滅ぼした侵略者たちと、今地球を襲うインベーダーの関連性が明確になり、モモたちの戦いの動機が「バモラの笑顔を取り戻すこと」という、より感情的でパーソナルな目標へと昇華されました。
- オカルンの覚醒: 不在だったオカルンは、北海道でターボババアから**「螺旋の力」を会得し、次巻での大復活**を約束しました。
- 仲間たちの奮闘: ジジの**「邪銃」**の披露や、坂田金太の「遅れてきたヒーロー」としての参戦覚悟など、残された仲間たちの成長と見せ場が描かれました。
物語はクライマックスを迎えつつも、主要な問題が解決されず次巻への大きなクリフハンガーで締めくくられています。読者の期待は、オカルンの復活が戦況をどう変えるのか、そしてバモラの運命の解決がどのように描かれるのかに最高潮に高まっています。
2024年10月からのアニメ化も控えており、ますます注目が集まる『ダンダダン』の次なる展開から目が離せません!